社中 中春の御茶事
2020年(令和2年)2月22日(土)・23日(日)

 
金子社中の御茶事は、2つのグループに分かれて日替わりで「お客様の日」と「裏方の日」の両方を体験します。


稽古場に到着したら、春の絵画の掛かった寄付(よりつき)で、御茶事開始を待ちます。

 
 
「御詰め」役のお客様が春蘭の花で作った「蘭香煎」を出します。
御詰めは、お客様で有りながら亭主の補佐をする大変なお役
さて本日は如何なるでしょうか・・・

 
亭主のお迎えが来たら、蹲で口と手を清めて、お茶席に入ります。

 
お茶室に入ったら、先ず亭主が心を籠めて選んだ掛け軸を拝見します。
「自然に頭が下がるものを・・・」が先代家元からの教えです。 

徳のある僧侶、昔々から茶道に関わったり、流儀に繋がる有縁の方々が相応しいのでしょうか?

本日は流祖小堀遠州が敬愛した藤原定家の江戸時代の子孫「冷泉為村卿」書かれた色紙和歌です。


「花の春月の秋とて須磨明石 にほひ(匂い)も波にかげも名高き」
 
いよいよ亭主が登場です。まず、炉に炭を入れてお釜の湯を沸かし、部屋も暖めます。

炉の中には、ほんの少しの種火が入っているだけなので、火をきれいに熾すには微妙なコツが・・・

両日の亭主とも、練習に練習を重ね、見事な出来映えでした。



 
一日目の亭主
 
正客(先頭のお客様)は、私の最初のお弟子さん、我が社中のまとめ役です。
 
 
二日目の亭主
 
 
 
輪炭にもしっかりと火がまわり、上に載せたお香から良い香りが広がります。

炭の断面が美しいですね。この炭を「菊炭」と呼びます。
無事に炉に火が入ったところで、お待ちかねの懐石料理

向付(むこうづけ)鯛の松皮作りと北寄貝
初度のご飯は「まだ蒸れていないのでほんの一口」、味噌汁は結び干瓢

 
黒い筋に見えるのは水前寺海苔、とても美味しいものなので贅沢に入れてしまいました。
 
もう一つのお待ちかね!!今年は久保田の碧寿!!!
 
まず一盞(いっさん)どうぞ

 
 
とても寒い日でしたので、お椀は蓮根蒸しに

 
「今年もお茶頑張りましょう」って、聞こえてきそうです。

 

焼き物は鰤の柚庵焼きです

 
 
八寸は海の幸、山の幸の二品が原則ですが、どうしても三品から減らすことが出来ずに・・・

海の幸は帆立貝の雲丹焼き、山の幸は柚餅子とタラの芽の春待ち揚げ
この八寸で、亭主がお酒を勧めます。

これからが御茶事の本番で濃茶と薄茶が待っているのに・・・
みんな!お酒の飲みすぎですよ!!


 
 
 
少し休憩をしたら 、主役の濃茶を亭主が練ります。床の間は掛け軸からお花に変わります。
 
 
 
2月22日は京都東寺の「弘法さん」の御縁日。この時だけ作られる笹屋伊織さんの「どら焼き」をお濃茶のお菓子にしました。 
 
 
抹茶は松尾園さんの「光悦」うっとりする位美しい抹茶です。
 
 
干菓子は鎌倉の春の風情
 
 
さて、お客様が懐石料理に始まり抹茶に至る、美味しく楽しい時間を過ごしている時、勝手場は戦場のような忙しさです、茶道男子も頑張っています。 

本当にお世話様です。明日はゆっくり、お客様を楽しんで下さいませ。
 
 
 
 
 
 
今年も無事に御茶事を終える事が出来ました。

普段のお稽古は、この御茶事を開く為のお稽古をしていると言っても過言ではありません。

流儀により、懐石料理のご飯の盛り方から、濃茶を練る御点前や作法に至るまで、違いは様々です。

でも、御茶事は流儀を超えて楽しむ事が出来る素敵な一刻です。